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W杯ヨーロッパ予選
フランス、チャンスにことごとく自滅、6試合連続引き分け

あのドゴール大統領は、戦後初めて日本の池田首相がフランスを公式訪問した時「トランジスターセールスマンがやってきた」と言って軽蔑した。

世も変われば、変わるものだ。シラク大統領は来日経験が60回を越えている親日家。そのあまり京都の舞妓との間に一児の女の子までもうけている。

外国元首が名古屋万国博覧会に来日したのは、フランスのシラク大統領が最初だ。パリ市長在任中の汚職問題で、かつてのシラクの部下47人の裁判が開始されたばかり。大統領はこの裁判から免除されている。

田中元首相は汚職で首相の座を失った。ムショ入りも経験したが、フランスで政治家は汚職程度では無罪になるケースが多い。革命を成功したというが、この国の権力者は中世並みの特権を許されている。この国では“法”は平等に施行されていない。

(注:マルセーユの前会長、大臣まで勤めたベルナード・タピ、かれの名声が頂点になった時、フランスの支配階級はタピ崩しを徹底敢行。汚職で潰してムショ送りにした。これはひとえに彼がパリのエスタブリッシュメントと異質な階級層出身のためだ。)

シラク大統領が「エアーバセールスマン」になりすまして猛烈な売込みをかけた。シラクはドゴール派の右翼政治家。親分が軽蔑した元首の国を訪れて、よもや子分が飛行機のセールスマンに成り変ったとは、草葉の陰でドゴールも苦笑しているだろう。

世の中は変わるから面白い。98年ワールドカップに優勝した当時のフランス主力メンバーが代表引退。なりふり構わないシラクセールスマンでも、現フランス代表の魅力は世界に売るのが難しい。

最近になくスイスチームが良いとしても、まさかフランス代表がホームで無得点、引き分けに終わるとは予想もしなかった。

今回も先発メンバーを変えた。トレゼゲ、好調のビルトールをアンリに変えた。左、ドラソー、右にジュリ、ビエリ、ペドロッティ、DFはサニュール、ブルソング、ジベ、ガレス。GKはバルティズ。

少なくとも、5回の大きなチャンスがあったにもかかわらず、トレゼゲ、ビルトールが外してはならないチャンスを自ら潰した。GKバルティズの好セーブ3回が、勝ちを忘れ、得点不足病に悩むフランスの危機を救った。

この夜、フランスと同じ組のイスラエル―アイルランド戦は、アイルランドが4分、モリソンで先取点を挙げて先行したが、90分、代わったイスラエル住のアラブ人スアンが、こぼれ球20mのロングショットをポストギリギリに叩き込んだ。

スアンはアラブ系クラブサヒニンでプレーする、代表メンバーで唯一のアラブ人。この得点でイスラエル欧州選手権予選突破の可能性が残った。かれは「このゴールは総てのイスラエル人に捧げる!」と、試合後に語る。

これで欧州第4グループは、上位3位までが9ポイント、得点差でアイルランドが首位、フランス、イスラエルの順で混戦模様だ。

(望月次朗)

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