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世界の一流選手からソッポ向かれた国内マラソンレースの衰退

近年、国内主要男女マラソンレースに出場した外国招待選手を見ると、名前と持ちタイムは見掛け倒し。実力は三流以下の選手が一流選手並の高い出場料金で来日している。

主催者自身が選手を揃えるのに頭が痛い。と言って、マラソン選手が本来の走りができなくても露出目的だけで選手を集める。レースが面白いわけがない。

「話題作り」で招待したアテネ五輪3位のリマは案の定、途中棄権だった。東京マラソンで高岡にペースアップを要求されても走れないペースメーカーがいたらしい。

来日するこれらの多くの外国選手は、一流レースから招待されるチャンスは少ない。呼ばれても日本で支払う金額は到底貰えない。それが日本では高い出場料を払ってくれ、ありがたく喜んで迎えられる。こんな“オメデタイ国”は世界には類がないだろう。

かつては、世界中のトップ男女選手がこぞって、主要国内レースに参加したのものだが、今はそんな話は遠い昔話だ。

男子レースは日本選手が弱いので、外国強豪選手を連れてくる金はなし。来日しても対等に戦える選手は高岡ぐらいだろう。

確かに、世界一流女子マラソン選手の絶対数が極めて少ない実情がある。が、このままでは国内レース総ては衰退の一途を絶対に避けられない。極東のローカルレースに落ちて行く。

日本国内主要レースの数が多すぎる。琵琶湖、名古屋国際女子、北海道、東京国際女子、福岡国際、大阪国際女子、別府大分、東京国際マラソンなど、陸連と新聞社、TV局の思惑で雨後の筍のように設置したモノばかりだ。

一つができたら他社も後続して陸連に猛攻を掛けて、出し抜かれないように“モノマネ”を始めるのは伝統的な日本のやり方。日本的なバランス感覚で陸連内の派閥、コネが大きく影響していることは言うまでもないが、集中力が散在することは避けられない。

例えば、英国にあるのは国を挙げてのロンドンマラソンだけ!ロンドンマラソンのエリート招待資金は、豊富に約2,5億円ある!!太刀打ちできるわけがない。

今年25周年記念に招待するのは、アテネ五輪、世界選手権をあわせた以上の名実共に実力選手を集める。タガート、ハイレ、リモ、ガリブ、ルト、マルディニ、レイ、ブラウン、ケフレジギ、ラマラ、コリル、女子はラドクリフ、オカヨ、チェプチュンバ、チェプケイメらだ。

ボストンもロンドンとまで行かなくても、昨年の優勝者、チェボローら6分台が2人、7分台が3人、8分台が2人としっかり質も量も揃えている。一方、女子はデレバ、ザカロハ、ワミ、アレム、オラルと、さすがに卒がなく集めている。ベルリン、シカゴ、NYらは言うまでもなく独自のスタイルで盛況を続けている。

もちろん、資金は少ないが選手の実力以上に面白いレースを作るロッテルダムも、エチオピア、ケニア選手との絆は強いため、遥かに日本より優れていることが毎回のレースを見れば分かることだ。

陸連には招待選手に払う金はないが、金を出すのはTV局か新聞社だ。最終的な招待選手の選考と承認が陸連を通さなければならない仕組みになっている。木っ端役人的な発想の陸連の担当者がお墨付きを振り回し、金はないが選手集めに大きな顔と口を出す。

日本に招待された外国選手を見ると、大方エージェントの顔が見えてくる。東欧、メキシコ、南アらの中古選手を送り込んでくるのはフロリダ在のコロンビア人のポソ。ミズノ契約のエチオピア女子選手に、クロカン、駅伝、マラソンに大挙してミズノ“露出”するボストン在のマーク。近年、ケニア選手を日本に送り込み始めたイタリア人のロザ、走れないリマを連れてきたのにはオランダのヨスらのエージェントらが暗躍している。

日本には“オイシイ”話が転がっているのだろう。

陸連は選手集めをエージェントに任せてふんぞり返っているだけか?世界に類のないことに、陸連桜井専務理事が、IAAFエージェントリストに掲載されている。それならもう少しましな使い方はできないものだろうか?過去の名前で走れない選手を高額で呼んできたのは、突き詰めれば“桜井エージェント”の責任ではないか?

外国マラソン選手には大金を払って出場して貰うが、日本選手に出場料はビタ一文出ないだろうが、コーチにはTV局、新聞社から裏金が出るのは周知のこと。

外国人に甘いのは、今日や昨日に始まったことではないが・・・、こんなことがまかり通ることがおかしい。陸連の大改革が必要だ。

新しい構想で市民ランナーを加えた「大東京マラソン」が来年開催される予定らしい。都知事さん、マンモス「ヴィジョン」で主催して貰いたいものだ。

追伸
上記を書き終えて1週間後、長野マラソン招待選手の発表があった。この大会でも「露出」用の「目玉」商品をポソ、マークの売込みでロートル選手のシモン、ツルに決定したと報道された。出場料、旅費、ホテル代、エージェントの旅費など、諸経費はバカにならない。売りつけることは勝手だが、それに無抵抗で飛びつくほうがはるかに程度が悪い。それにしてもこんなばかげたことをいつまで続けるのだろうか。いい加減にして欲しい。

(望月次朗)

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