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ロンドン・スーパーGP
目撃者、男女棒高跳の歴史的な瞬間

1985年7月14日、パリ市内で開催されたGPでサルジェ・ブブカ(当時のソ連)が、史上初めて6mを越えた瞬間を目撃した。

連続写真は陸マガに掲載されたが、その写真は今もって返却されていない。

2005年7月22日、ロンドン・クリスタルパレスで開催されたスーパーGPでイレナ・イシンバイェワ(ロシア)が、女子で史上最初の5mの高さを克服した瞬間をディジタル化した。

ぼくは世界でも、多分、男女棒高跳の歴史的記録を越えた瞬間の唯一の目撃者かもしれない。少なくとも、この二度の瞬間を撮影したのは確かにぼくだけだ。

イシンバイェワをヴォルゴグラードで取材した結果は、すでに月刊陸上競技誌で10ページに掲載、このサイトでも紹介した。

ロシア国内の取材は難しく珍しいゆえに、フランスの陸上誌に寄稿、ドイツの新聞、ロンドンGPの開催された当日のThe Timesのスポーツ欄の特集にもぼくの写真が使われた。

TBS局からも直接問いあわせがあった。かれらはその後、現金で10万ドル支払って現地取材した。プラスコーディネーター料、経費を考えると大変な額になる。

方々で日本TV局、雑誌社らが金をばら撒き取材“日本人報道者は取材費を払う”が世界で定着している。こっちは本道で取材しているから、迷惑な話しこの上ない。

話が逸れたが、サルジェ・ブブカが観客席から降りてきて、世界新記録のボーナス目録5万ドルをイェレナに渡した。先駆者の商売が上手かったブブカは英語で「5万ドルだけ?」と、呟いていた。

ブブカは当時イタリアのエストリアで開催されたGPで世界新記録樹立の副賞で赤いフェラーリを獲得、現在でもモナコで乗り回している。

ブブカは次回IAAF会長選挙に立候補するらしいが、そっちのほうでも世界の頂点に立とうとする野心家だ。

女子棒高跳の歴史は浅いが、ここ数年やっと本格的な棒高跳に成長した。1995年、中国選手が4.06mの世界記録を樹立してから、エマ・ジョージが4.50m、ステェイシー・ドラギラが4.81、スヴェトラナ・フェオファノワが4.88mなど、10年間で100cmの著しい進歩を遂げている。

イシンバイェワは04年、室内世界選手権にフェオファノワと競り合い優勝してから、一挙に世界の頂点に君臨、実力はダントツ。五輪を世界新記録で優勝、他を完全に圧倒している。

ロンドンでは珍しく、一夜に2回の世界新記録を樹立した。4.96mの世界新記録を2回目でクリアーしたが、続く5mは一発で軽々飛んだ。

イシンバイェワを始め、ヘルシンキで開催される世界選手権大会は、一部の投擲種目を除く大半の種目で男女とも新旧世代交代がおこなわれる興味ある大会になるだろう。

(望月次朗)

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