shot
 
NEWS

少年走り幅跳び小山優勝、 第5回世界ユース選手権、史上最高の成績を上げる

7月11〜15日、チェコのオストラバ市で第5回世界ユース選手権大会が開際された。日本チームは金メダル1、銀3、入賞10人、メダル獲得9位、史上最高の成績を残した。

大会は世界ユース新記録3、大会新記録11、今季世界最高記録22個が誕生した。日本選手の活躍と、大会のハイライトを進行プログラムに沿って記述した。

7月11日、大会初日。心配された天候も回復に向かっているようだった

:少年100m予選6組、浜野大蔵(横須賀総合高校2年)、10秒87、3位予選通過。82名出場22位。100m予選8組、小笹隼人(花園学園3年)、10秒85,3位で予選通過。ランキング20位だった。

:少年100m第2次予選1組、浜野10秒83で6位、4組、小笹10秒92で6位。それぞれ32名出場中16,22位で敗退。

:少年400m予選1組に出場した鶴田賢(鹿児島、鹿児島南高校3年)は、49秒19で3位、54名出場中27位で予選落ち。400m予選8組に出場した浦野晃弘(広島、広島皆実高校2年)は、47秒96で予選を1位で通過した。この結果は全体の4位。47秒台が4人とレベルが高い。

:少年800m3組に出場した伊藤秀充(長野、大町高校2年)は、1分55秒89で6位で58名出場中33位で予選落ち。

:少女100m予選9組、岩楯英枝(東京、武蔵野高校2年)は、12秒64で4位。69名出場中48位で予選落ち。

:少女1500予選1組、小原怜(岡山、興譲館高校2年)が4分26秒17、2位の余裕で予選通過。2組で走った田中華絵(福岡、筑紫女学園高校3年)が4分28秒91,5位でそれぞれ予選通過した。出場24名中小原が5位、田中は10位で予選通過した。

:少女3000m決勝に14選手が出場。気温17度と、絶好の長距離レース日だった。メルシー・チェロノ(ケニア、16歳)とマーレット・メレセ(エチオピア、17歳)の2人が他を完全に圧倒。最初の10000mを2分59秒60で通過。次第にペースアップ、2000m通過が5分55秒62。2人が3位以下を大きく離した。チェロノのスピードは最後まで衰えず8分53秒94で圧勝、2位はメレセだった。中道早紀(兵庫、須磨学園高校2年)、森彩夏(兵庫、須磨学園高校2年)は、先頭の早いペース集団に遅れたが、同じ学校の同級生、息のあったペースで走る。オーバーペースがたたったのか、後半落ちてきた選手を拾い順位を上げた。中道が9分13秒84で4位、森が9分13秒89で5位だった。今大会、日本人初の入賞だ。

7月12日、大会2日目

:少年100m決勝。デクスター・リー(ジャマイカ、16歳)が10秒51で優勝。2位はニッケル・アシュミーダ(17歳)が10秒51で上位を独占した。この2人は世界記録保持者のアサファ・パウエル型。決勝でも余裕で左右を見ながら走っていた。。

:少年400m準決勝で2組に出場した浦野が48秒32で3位、24名出場中10位で決勝進出を逃した。

:少年3000m予選1組に出場した近藤洋平(兵庫、須磨学園高校3年)は、自己新記録となる8分20秒01で6位、同2組に出場した村澤明伸(長野、佐久長聖高校2年)は、自己新記録8分17秒85で4位。25名出場中、近藤は10位、村澤が7位。それぞれ文句なく決勝進出が決まった。

:少年110mH決勝。ウェイン・デーヴィス(アメリカ、16歳)が13秒18の世界ユース新記録で圧勝。

:少年走り高跳び予選1組で中村明彦(愛知、岡崎城西高校2年)が、2.04mを2回目に跳んで10位。八木将紀(新潟、東京学館新潟高校3年)は、ほとんど身体を動かさず2.10mから始めたが3回失敗。記録なしに終わる。出場選手45名中、中村は18位で予選敗退。

:少年走り幅跳び予選1組に出場した小西康道(北海道、白樺学園高校2年)が、1回目に7.11m、2回目の跳躍が7.30mで予選通過記録とタイ記録で予選通過。隣のピットで嘉山大介(埼玉、深谷商業高校2年)は1回目こそ足が合わず6.81mだったが、2回目に観衆を沸かせる7.32mを跳んで文句なし、この組みランク1位で予選通過した。2人はハイタッチして予選通過を喜ぶ。出場選手34名のうち、嘉山3位、小西が5位だった。1位は7.43mを跳んだジャマイカ選手だ。

:少年槍投げ決勝で、槍投げが「国技」のフィンランドのツオマス・ラクソネンが、大声を掛けた3投目に79・71mを投げて2位に3mの大差で圧勝。

:少年オクタスロン優勝者は、以外にもバハマのショーン・ブラスウェイト。平均的な力を発揮して6261得点で優勝した。バハマ国旗と一緒に写真を撮ろうと思ったら、その用意がなかった。「これでアメリカの大学から奨学金をもらえる」と喜んでいた。

:少女5000m競歩決勝。前回優勝のタチヤナ・カルミョコワ(ロシア、17歳)が、20分28秒05、同僚を大きく離して珍しいユースの2連勝。西澤千春(長野、長野東高校2年)は、出場選手27人中、24分02秒47で13位、山鹿由莉(埼玉、熊谷女子高校3年)は24分24秒72で19位だった。

:少女100m決勝。アシャ・フィリップ(イギリス)とロサンゲラ・サントス(ブラジル)らが同タイム、写真判定の末、フィリップが優勝決定。3位にアシリー・ネルソン(イギリス)、4位はバーバラ・レオンチオ(ブラジル)だった。

7月13日、大会3日目。この日から気温は25度、湿度42%。直射日光はかなり厳しくなった

:少年200m予選3組の羽根聖也(静岡、藤枝明誠高校3年)が21秒76で1着。8組に出場した久保田裕是(千葉、東海大浦安高校3年)は21秒31で1着、揃って第2次予選にコマを進めた。出場選手77名、久保田がトップ、羽根が3位の記録だった。

:少年800m決勝は、ジェフレ・キベット(ケニア)が1分49秒99でゴール前の激戦を制した。

:少年1500m予選3組に出場した今崎俊樹(京都、洛南高校2年)、この組はタイムが良く、3分53秒62で6位だったが決勝進出が決まった。30名出場中8位だった。

:少年400mH予選3組に出場した水野龍彦(神奈川、桐蔭学園高校2年)は、53秒33で1位だった。出場選手35名中11だった。

:少年走り幅跳び決勝。小西、嘉山らは、1回目で7.52m、7.32mを跳躍して、日本選手が1,2位を独占した。
小西康道(169cm,59kg、100m 11秒62)
「調子は良かったので、メダルは狙っていたのですが・・・、優勝は考えていなかった。同僚の皆川澄人(7.47m)の分まで優勝できてよかった。1回目に助走がピシャリあったが、それ以後の跳躍は風があってかなり助走が崩れました。この大会はインターハイへの過程と思っていたし、皆川と一緒にインターハイで1,2位を目標にしています。イイ形でインターハイに望めますが、かなりの激戦になると思います。」
嘉山大介(178cm、61kg、100m11秒12)
「今日の結果に満足していません。風に悩まされてファウル(注:1回、5回の7.28m以外は全部ファオル)が多かった。しかも微妙にファウルしていた。インターハイの再戦では記録より優勝して、今回のリベンジを果たします。小西の優勝を阻止、次は必ず勝ちます。大勢の人たちがeメールで応援してくれました。」

:少年棒高跳び予選で、A組の土井翔太が4.60m、4.70mをそれぞれ1回目の試技でクリアーし、予選を2位で通過した。B組の三浦優(千葉、木更津総合高校2年)は4.60mを3回目に越え、4.70mを3回失敗して8位。出場選手22名中15位で予選敗退。

:ウクライナの「怪物」ことミュキタ・ネステレンコ(16歳)は、少年円盤投げで軽々1投目に大会新記録70.67mを投げて驚かした。2位との差は12m!!かれは砲丸投げで優勝確実と言われながら決勝でベスト8に残れない大失敗を犯した。その時は、身長205cm、体重95kg、腕を広げたスパンが214cm!!の巨体を小さくして泣き出しそうな表情だった。

:少年ハンマー投げ決勝。アンドレイ・マルティニュク(ウクライナ)が1投目に76.09mを投げて優勝。

:少女200m予選第4組に出場した渡部しずか(宮城、東北高校2年)は、24秒79で3位。出場選手55名中13位だった。

:少女800m予選6組の広田愛子(兵庫、須磨学園3年)は、今シーズン自己最高記録2分9秒76で4位。出場選手56名中17位で予選通過した。

:少女1500m決勝。田中は自己新記録の4分23秒34で7位入賞、小原は4分27秒74で9位だった。

:少女砲丸投げ予選B組で、鈴木梨枝(東京、東京高校3年)が今季自己ベスト記録13.61mを投げて6位。出場選手25名中9位で予選通過した。

7月14日、大会4日目、猛暑がやってきた。気温33度、湿度31%、直射日光は40度ぐらいに感じる暑さだ

:少年200m準決勝2組に出場した羽根聖也は、今季ベストの21秒60で3位で予選通過。予選3組に出場した久保田裕是も自己新記録21秒17、1位で予選通過した。22名出場、羽根8位、久保田3位だった。

:少年3000m決勝。優勝はケニア勢が1,2位独占。近藤洋平が8分22秒68で6位入賞、村澤は途中で後方から押されて転倒、8分38秒83,13位だった。

:少年400mH準決勝2組に出場した水野は52秒71で5位、16名出場中11位で決勝進出ならず。

:少年メドレー、羽根、浜野、久保田、浦野のオーダーで,アメリカに次いで日本ユース新記録1分52秒27で2位。22チーム中2位だった。

:少年三段跳び決勝。走り幅跳び3位にクリスチャン・タイラー(アメリカ)が6回目に今季ユース世界最高記録15.98mを跳んで優勝。

:少年円盤投げ決勝。「怪物クン」ネステレンコが5回目の投擲で68.54mを投げて優勝。

:少年10000m競歩決勝。大竹洋平(千葉、成田高校3年)は44分16秒06で6位入賞した。

:少女200m準決勝2組出場した渡辺は、向かい風1.3mのなか、自己新記録24秒34で4位だが決勝進出ならず。

:少女800m準決勝3組に出場した広田は、2分12秒29、7位で決勝進出ならず。24名出場中21位だった。

:少女100mH予選3組に出場した上田美鈴(福井、敦賀高校2年)は、自己新記録13秒77を記録して4位。36名出場中10位で予選通過した。

:少女100mH準決勝2組に出場した上田は13秒89,6位で決勝進出ならず。16名出場中11だった。

:少女メドレー予選1組の日本チーム、中野、渡辺、岩楯、北村は2分11秒04で2着。22チーム出場中8位で決勝進出なる。

:少女走り幅跳び予選A組みに出場した中野瞳(兵庫、長田高校2年)が、1回目の跳躍で5.97mを跳んで3位、28名出場中9位で予選通過した。中野は1回目の跳躍後、メドレー1走を走った。

:少女棒高跳び決勝。モスクワ生まれのビッキー・パラノフ(オーストラリア)が4.35mの大会新記録で優勝。

:少女砲丸投げ決勝。鈴木は13.00mを投げて11位だった。

:少女槍投げ予選B組に出場した柴泰子(千葉、土浦湖北高校2年)は、48.00mを投げて8位で予選通過ならず。28名出場中15位で敗退。





7月15日、大会5日目、気温35度、湿度21%。体感気温は40度を越えた暑さだ

:少年200m決勝。優勝はロマン・マッケンジー(ジャマイカ)が20秒67で優勝。久保田が自己新記録21秒07で4位入賞、羽根が21秒70で7位だった。

:少年1500m決勝。今崎は3分52秒61で8位入賞だった。

:少年400mh決勝。110mHで2位だったウイリアム・ウェイン(アメリカ)が49秒09、世界ユース新記録で圧勝した。

:少年メドレーは、全く予選と同じ状況でアメリカが1分51秒34で優勝、日本は予選と同じメンバーで1分51秒42で2位だった。
1走の羽根は「ジャマイカを破り、銀メダルを取れて最高です。」2走の浜野は「メダルの色が違った(注:金色)ものを狙ったが・・・、」3走の久保田は「200m決勝で4位だったので、それ以上の成績で良かった。」、アンカーの浦野は「あと一歩だったが・・・、予選と同じ結果だ。このメンバーは最高です!」<

:少年棒高跳び決勝。ニコ・ベイラー(ドイツ)が大会新記録5.25mを跳んで優勝。土井とマニュエル・コンセプション(スペイン)が4.85のタイ記録で2位を分けた。
土井はこう喜んだ。「記録より順位が問題。嘉山(走り幅跳びで2位)に、“下克上”と書かれた鉢巻が効いたかも。最高の気分です。この調子でインターハイでもいい結果を残したい。」

:少女メドレー決勝。アメリカが2分5秒74で優勝。日本は2分12秒45で7位だった。

:少女走り幅跳び決勝。ダリヤ・クリシナ(ロシア)が6回目に6.47mを跳んで、イヴァナ・スパナビッチ(スロバキア)との激戦に決着をつけた。期待された中道は2回目に6.14mを跳んで5位の入賞だった。

原田康弘(陸連ジュニア強化部長)に、今大会の総括を訊いた

「入賞を目的に、高いレベルの選手を選考してきたので、それなりの結果を生んだと思います。今あるものをしっかり出すことが重要です。このユース大会をステップに、末続、為末、成迫、池田らのように若い世代から継続して、ジュニア、世界選手権に向かって努力して世界、五輪を目標にしていただきたい。」

国際オリンピック委員会(IOC)は7月5日の総会で、14〜18歳を対象とする「ユース五輪」を新設することを承認した。夏季大会は2010年は4年に1度の開催。室内に引っ込んでゲーム、コンピュータに没頭する若者にスポーツに興味を持たせ、健康に配慮した教育的プログラムを実施することが主な趣旨らしい。 参加選手は夏季大会が3200人、冬季大会が1000人の規模になるとか。 7月19日、ユース五輪の2010年第1回夏季大会の開催地に、早くもトリノが立候補する方針だと、イタリアから一報があった。トリノは昨年に冬季五輪、ことしはユニバーシアード冬季大会を開催した。これまで国際的な陸上競技大気はユース、ジュニア世界選手権大会を開設してきたが、日本ではインターハイがどうしても最優先大会で、これらの世界選手権大会は今ひとつ興味が薄いのが現状だ。しかし、新たにユース五輪が開催されれば、若者のモチベーション先が違ったものになろうと想像できる。また、各競技団体には、U17,U20,ユース、ユニバーシアード代表など既成の世界的な大会が存在して、すでにスケジュールは過剰気味だ。ここに来てユース五輪新設は、一層の「燃え尽き症候群」対策と肉体的トラブル多発を十分に考慮して行うことも大切だろう。

 
(望月次朗)

Copyright (C) 2005 Agence SHOT All Rights Reserved. CONTACT