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ハイレ、北京五輪マラソンを回避、トラック出場か

3月10日、現男子マラソン世界記録保持者のハイレ・ゲブレセラシエ(エチオピア、34歳)は、北京の大気汚染が持病のぜんそくのため北京五輪マラソンの欠場を表明した。ハイレの発言は、金メダルの有力候補とみられる陸上競技選手が、北京の環境問題で行動を起こすのは初めてだ。代表に選ばれれば10000mに参加する方針というハイレの真意を自宅で訊いた。



−北京五輪マラソン欠場を公式発表した真相は。
ハイレ−そんなことで記者会見なんかするわけがない。(笑う)たまたまロイターの記者が、ぼくがジムで練習中に立ち話をしただけの話。あの大気汚染の環境で42キロを走るのは健康にリスクが伴うので走らないだけ。それにしてもなんで私の北京五輪マラソン欠場がこんなに反響が凄いか驚いている。でも、すべての種目に出場しないわけではない。

−なぜ、マラソンをなぜ回避するのか
ハイレ−2月の始め北京に行った時、滞在先のホテルから市内の眺めは、ここから見るアディスの比でなかった。近くの建物がかすんで見えない!北京の汚染は自分の健康にとっては危険だ。これでは、とても走れないと思ったのが実感だ。

−北京五輪は決定的なのか。
ハイレ−私の夢は五輪マラソンで優勝することだが、ぜんそくの持病があるので、あれだけ高温多湿の北京でマラソンを走るのは無理だ。出場はしません。普通の選手でも、マラソンや自転車ロードなど、耐久レース競技には影響があると思う。これまでIAAF,IOCも、TV放映などの力が強く、マラソン選手の健康に気象条件、環境がどれだけ影響を及ぼすか配慮が足りないと思う。今回は夏マラソンも問題な上に、大気汚染が凄い環境で走らなければならない。過去、夏の五輪マラソンで優勝した選手が、シドニー五輪は例外だが、ほかのの大会で極度に疲労した身体がトップシェイプに戻ったケースは少ない。ポーラ・ラドクリフも、北京五輪出場に慎重に考慮中だとも聞いている。ロンドン五輪、それ以降も走る可能性があるから、北京で健康を崩したくないのが本音だ。

−10000mでエチオピア代表も激戦ですね。
ハイレ−エチオピア陸連の選考基準は、記録プラス経験が考慮される。今年もヘンゲロGPで10000m予選会が開催される予定だ。上位3人の中に入るのはそんなに難しくはないと思う。去年のヘンゲロGPで出した26分52秒81は、トラック練習なしで走った記録だ。この記録は、昨年の国内で4番目のもの。ケネニサ・ベケレに到底勝てるとは思わないが、高温多湿の中でのレースはタクティカルナレースになるし、出場したらメダルの可能性は十分あると思っている。

−今年はトラック復帰のシーズンになるのか。
ハイレ−それはあり得ない。マラソン練習と走るスタイルを変えようとは思わない。たぶん、トラック練習は週に1回で十分だろうと思う。

−目標記録は。
ワミ−でしょう(笑う)
ハイレ−やってみなければわからないが、昨年の状況からすると、今回は慎重に準備をしてくるので、26分40秒ぐらいで走れるんじゃあないかな(笑う)

−五輪後、ベルリンマラソンには出場する予定か
ハイレ−多分ね。秋のレースではあそこが、記録狙いの最適なコースだろうと思っている。私の夢のもうひとつは、サブ4分で走る史上最初の選手になることだ。マラソン五輪優勝はロンドンまでお預け。(笑う)もし、去年、世界記録を樹立した時と同じ条件、気候ならば、ペーサーなしでの後半独走でも2時間3分50秒で走る自信があります。

(注:五輪期間中に大気汚染が深刻になった場合、競技時間が1時間を超えるマラソンや自転車ロードレースの日程を変更する代替案の作成に着手していることを明らかにした。代替案は「プランB」と呼ばれ、変更は数日の延期となる。大会最終日の男子マラソンをどうするかは難題だ。)

 
(08年月刊陸上競技5月号掲載)
(望月次朗)

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