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ダンカン・キベット、2時間4分27秒の史上3位の好記録で優勝、2位もタイ記録

久々に、第29回目を迎えたロッテルダムマラソンが、久々に世界の注目を浴びた。これまで3度の世界記録を生んできた高速コースも、近年、注目度はベルリン、ロンドンらに押されてきた感じがする。ダンカン・キベット(ケニア、30歳)、ジェームス・クワンバイ(ケニア、26歳)の2人が最後まで激戦、ドラマティックなスプリント決着をした。珍しくも、1,2位が2時間4分27秒のタイ記録で史上3位の高速記録を生んだ。これでポール・タガートの持つケニア記録を更新。この日は気象状況も味方した。弱い日差しで気温は11度、無風状態でまさに最適なレース条件だった。レースは11時にスタート。選手は8時45分にスタートしたパリマラソンの結果を控え室のTV実況でしっかり確認後、スタート地点に誘導された。パリの若い選手の積極的なレースが、どのような刺激、心理的な影響を与えたかは定かではないが、レース前、ケニアからキベット、クワンバイらのコーチ、ベラルデリから、パリで3位になったデヴィッド・キエングが自己新記録の2時間7分53秒を2時間6分26秒に短縮したことから推測。力があり絶好調のクワンバイなら4分台の予測一報を受けた。また、同じクラブの練習仲間のダンカン・キベットも好調だが、どこまでクワンバイの高速ペースについてゆけるか未知数だともあった。

最近の記録狙いは、ペースメーカー4人でハーフを62分30秒か、それ以上の高速ペース設定が常識になってきている。30kmを1時間29分に設定。少なくとも、ウイリアム・キプサング(ケニア)の2時間5分49秒のコース記録更新狙い。ペーサーの一人には、キベット、クワンバイらの練習仲間でペースが一定する走りで知られるエリアス・ケンボイをつけた。最初の10kmを29分18秒で通過。トップ集団は20名ほどの大集団。次の5kmを14分98秒、14分89秒、前半を予定通り正確なペースで62分35秒に通過。予測最終タイムは2時間5分前後にあった。30kmを1時間28分51秒、先頭グループは、昨年、ベルリンでハイレと最後まで争って2位で2時間5分36秒のクウワンバイ、昨年ミラノで自己新記録の2時間7分53秒を出して優勝したキベット、2時間7分38秒のアベル・キルイ(ケニア、27歳)、ハーフで59秒02の記録を持つスピードランナーのパトリック・マカウが初マラソン、らがトップ集団。先頭集団の団子状態が徐々に崩れだしたのは、クワンバイが25−30km間で14分45秒とスピードアップしたためだ。

30kmを過ぎて最初にマカウが遅れだし、キルイが先頭から脱落。クワンバイが35kmを過ぎてスプリットタイムが最も速い14分39秒にスピードアップ。キベットが遅れだした。一時は20m以上の差がついたが、37kmを過ぎてからキベットが徐々に前を行くクワンバイに近づき、38km地点でついに追いつき生き返った。キベットは、「ちょっと目眩がしたような感じと、左ひざも痛かったしなんとなく気分が悪かった」と、かれ独特の説明があった。続けて、「まさか、おれ自身がポール(タガートの2時間4分55秒)のケニア記録を破って史上3位なんて!・・・、国内で驚いているだろうね。(笑う)クワンバイの調子がよいことは知っていたので、かれについて行きギブアップしなかったのが勝因さ。実は最後の方はなにがなんだか自分でも。勝ったことは知っていても、なにが起きたかよく覚えていないんだよ。最後の500mでクワンバイの出方を見るつもりでスパートしたら、かれは止まっていたようで全く反応しなかったから勝てんだ。あとのことは興奮していて覚えていないよ」と、レース後説明があった。一方、30kmから先頭でレースを引っ張ったが、勝負に負けたクワンバイは大レースで連続2位。「記録が良かったので、結果的に満足している。」と、率直に敗戦を認めた態度には好感が持てた。女子は、ナイリヤ・ユラマノワ(ロシア)が2時間26分30秒の自己新記録で優勝。

 
(09年月刊陸上競技6月号掲載)
(望月次朗)

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