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新鋭キトワラ、ハイレに競り勝つ!

ハイレ・ゲブレセラシエ(エチオピア、35歳)は、サミュエル・ワンジル(ケニア、23歳)のハーフ世界記録挑戦のため、第35回デンハーグハーフマラソンに調整してきた。レース直前、霧雨と一緒に風も出てきた。「やっぱり雨か」と、ハイレは失望したように空を仰いだ。ハイレはこの距離で01年から8レース無敗。07年まで58分55秒の世界記録を持っていたが、このコースでワンジルが58分33秒の世界新記録を樹立した。いわば因縁の対決だ。

スタートからハイレを中心にエチオピア、ケニア勢の集団で展開したが、最初の5kmですでにワンジルの世界記録スプリットより遅れること23秒。この時点で世界新記録はほぼ絶望的だった。トップ集団は8名。向かい風と霧雨の中、10km通過タイムは2年前のワンジルの記録より1分遅れ。後半になり優勝争いはハイレ、好調なサミー・キトワラ(ケニア、22歳)、デレジェ・テスファヤ(エチオピア、24歳)らの3人に絞られた。テスワヤが15kmを過ぎると次第に遅れ、優勝争いはキトワラ、ハイレの2人。ハイレが最初にスプリントで仕掛けたが差はひらかず。キトワラがゴール直前、逆転スパートでハイレを突き放して優勝。この種目7戦7勝。初のサブ60、自己新記録の59分47秒を達成した。「偉大な長距離ランナー、ハイレに勝って最高な気分だ」と大喜び。3秒遅れでまさかの2位に甘んじたハイレは、「今日はぼくの日ではなかった。キトワラとのスプリント争いに完敗。春先に小雨が降るような気象状況は、持病の喘息に最悪。スタートから呼吸困難だった。06年ロンドンマラソンを棄権したのを思い出した。10km付近でレース棄権も考えたが・・・、なんとか最後まで完走したのが不思議なくらいだ。また、次の機会がある」と、サバサバしていた。女子は、パウリン・ワングイ(ケニア、25歳)がキャサリン・ンデベラ(ケニア、37歳)を15kmで引き離して優勝。2週連続オランダ国内で優勝した。

 
(09年月刊陸上競技6月号掲載)
(望月次朗)

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