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苦節10年、ついに頂点に達したムラウジ

男子800m決勝は、0.57秒のタイムに6選手が先陣争いの死闘を繰り広げたスリリングなレースだった。これまでタイトルに全く縁がなかったブラエニ・ムラウジ(南ア、29歳)が倒れ込んで勝ち取った。これで南アは波乱が起きた男女800mを制した。

準決勝1組の優勝候補ナンバーワンのアブバケール・カキ(スダーン、20歳)が、残り150m地点で転倒。ブラム・ソム(オランダ、29歳)らを巻き込んで途中棄権の大波乱が起きた。最終的にソムは決勝進出を許可されて7位に終わったが・・・、このアクシデントで優勝の行方は混沌。決勝進出者全員、優勝のチャンスが回ってきたといっても過言ではないだろう。

ムラウジは世界トップレベルで活躍すること10年。アテネ五輪2位、04年室内世界選手権、06年ワールドアスレティックファイナル優勝で2度のタイトル獲得をしたてが、万年優勝候補に上げられる選手のイメージが強い。 レース前、多くの人は2位のなったアルフレッド・キルワ・イェゴ(ケニア、23歳)、1500mを制したユスフ・サード・カメル(バーレン、26歳)らを優勝候補に上げた。

ムラウジは優勝の喜びをこう語った。
「これまで何度もチャンスがありながら、なぜか、屋外世界選手権タイトルに縁がなかった。ついに世界選手権で優勝!天にも昇る喜びだ。神に感謝したい。レースを完璧にコントロールできた。最後の100mで自分自身にこう言い聞かせた。『腕振りを大きくして全力で走る!』今回は調整も、精神的にも準備が整った。なに大きなことが起きる兆候のようなものを感じていた。ゴール10m前、誰にも抜かれない自信、絶対に勝てると思った。これまで何度も自分に『なぜ、世界選手権に勝てないのか』問い続けてきた。マネージャー、コーチ、妻にも同じ質問を投げた。妻は『最後の200mのロングスパート』が最適だといったが、うまく彼女のアドヴァイスが成功したよ。女子800mで優勝したセメニャと同じリムポコ地方出身者で男女800mを制覇したのは奇遇だ。

 
(09年月刊陸上競技10月号掲載)
(望月次朗)

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