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棒高の女王イシンバエワ、無残にも記録なし

イェレナ・イシンバエワ(ロシア、27歳)が、まさかの4.80mを失態。逆転優勝ならず記録なしに終わった。

イシンバエワは、「今日、なにが起きたか説明するのは不可能です。すべてが完璧だった。グラウンドに横たわって集中力を高め、わたしのジャンプと勝利を信じて想像していたが・・・、敗戦を考えたことはない。9年前ならいざ知らず・・・、全く予期しないことが現実に起きてしまった。4.65mの低い時点からはじめなかったことは後悔していない。4.75mから競技を開始したことは失敗ではない。私が思うに、このような事態が起きたことは起きなければならなかったから。世界選手権大会は非常に重要で、この失敗からさらにロンドンを目指して大きく成長をすることを望みたい。この敗戦のショックから早く脱出したい」と試合後のコメントだった。

今季のイシンバエワは、『五輪後の疲労』があったとかで室内大会も3試合とすくなかったが、ドネツクで5.00mの室内世界新記録を樹立。が、屋外試合も通常よりかなり遅れてベルリンGLからターター。緒戦を4.83m、オスローは雨の影響で4.71m、ローマ4.85m、パリ、4.65mで勝ったものの、記録は下降気味だった。

昨年まで4.90m以上をコンスタントに跳んで圧倒的な強さが影を潜めた。世界選手権大会前最後のロンドンGPで冴えなく、アナ・ロゴウスカ(ポーランド、28歳)と4・68mのタイ記録で2位。目を真っ赤にして感情をこらえていた。連続18試合連勝記録に終止符を打った。

それでもイシンバエワの桁外れな高い潜在能力で、2週間後の世界選手権に向けて調整してくるだろうと期待していたが、まさかの敗戦でロゴウスカに今季2敗目を記した。

世界選手権から10後、チューリッヒGLに出場したイシンバエワはこう語った。
「世界選手権の失敗は、ちょっとした慢心だったと思います。予選も一発で通過。決勝もまたいつもの大会のように、いとも簡単に金メダルを獲得。世界新記録もそれほど問題なく記録を伸ばせるだろう程度の舐めきった考えだった。競技会に出ているような気持ちがない。身体はトラックに入っていたが、頭の中はほかのことを考えていた。これまでさほどの苦労もなく連勝、世界新記録を更新してきた。当然のことながら慢心、油断、集中力の欠如した態度が失敗の原因だった。敗戦を糧に、チューリッヒGLから新しい目的に向かって最善を尽くしたい」(注。イシンバエワは世界選手権1週間後、チューリッヒで5・06mの世界新記録を樹立して欝憤を晴らした)

 
(09年月刊陸上競技10月号掲載)
(望月次朗)

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