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飯塚翔太、男子200mで圧勝、史上初の同種目優勝

7月23日、大会第5日。男子200メートル決勝に進出した飯塚翔太(中大)が、重圧を超えて20秒67で優勝。史上初の短距離種目での頂点に立つ快挙を成し遂げた。飯塚は決勝8人でただ一人のアジア勢。今季、5月3日静岡で記録した20秒58は、今季世界ランキングトップ、日本のエースのプレッシャーにもかかわらず、予選2組を21秒13で軽くトップ通過。雨中の悪コンディションをものともせず、準決勝を今季世界ランキング4位の好記録20秒93で全体2位通過。予選で100m2連覇を果たし、今季20秒76の記録を持つディクスター・リー(ジャマイカ)がフライングで失格。大会4日目の決勝は、前日の準決勝の雨中のレースとは対照的に、気温23度、湿度61%、追い風0.5mの絶好なコンディションに恵まれた。スタートから快調に飛ばし、外側4コースのアリアクサンダー・リニク(ベラルシァ)をホームストレッチ手前で捕まえ、後半さらに加速して完璧に突き放して0秒22の大差で圧勝した。世界ジュニア選手権は1986年から隔年で開催され、今年が13回目。日本勢の金メダルは94年第5回大会で女子10000mの山崎陽子(筑波大)、02年第9回大会女子10000m競歩の三村芙実(熊谷女高)に次いで3人目となり、男子では初めて。レース直後、ミックスゾーンでインタビューした。

―ゴールした瞬間の気持は。
飯塚―最高の気分!「ヤッター!」って感じですね。優勝を狙ってきたんですが、勝ったなんてちょっと信じられません!

―どこで勝てると思いましたか
飯塚―前の選手(4コースの2位になったアリアクサンダー・リニク)をホームストレッチに入る前に捕まえてトップに立つことができたので行けそうな感じがしました。金メダルを取れるなんて最高の気分ですね。

―この大会を目指しての調整は完ぺき。
飯塚―ジュニア世界選手権に出場するチャンスは生涯一度ですから、昨年からこの大会を狙ってきました。この大会に出場するのに、中途半端な調整では太刀打ちできないでしょう。冬季練習をかなり積んで、優勝を目標にしてきました。今後、日本選手権は来年から何度も出場チャンスがありますから、今年は出場を中止してじっくり調整してきました。調子は最高に良かったですね。

―決勝スタート前、どんな感じでレースに臨みましたか。
飯塚―とにかく集中力を切らさず、しかもリラックスを心掛けました。平常心でベストを尽くし、悔いが残らないいつもの走りができれば結果はおのずからついてくるんだと思っていました。

―決勝はメダル獲得狙いだった。
飯塚―いや!ここまで来たんですから優勝以外は考えていません。絶対優勝するんだ!と言い聞かせていました。

―3レースで完ぺきな走りを見せた。予選は21秒13で楽勝でしたが、大会初めてのレースの感想は。
飯塚―そうですね。大会初めてのレースで緊張するかと思ったんですが、かなり気軽に走れました。

―準決勝の雨中の悪コンディションでも20秒93、今季世界ランキングトップの片鱗を見せた快走。アリアクサンドラ・リニック(ベラルシァ)の20秒81に続く2位の記録だった。かれをマークしましたか。レースの印象は。
飯塚―かれが準決勝をトップの記録で通過したことは知っていましたが、一応目安になってもマイペースでリラックスして自分のレースする以外は念頭にありません。雨の中の向い風(注:気温17度、湿度80%、向い風+2.1m)でしたが、後半は流してゴールできた余裕があるイイ感じで走れたので、そんな影響はなかったと思います。

―準決勝通過記録が2位でイイ感じで走れたことで、優勝の自信が沸いてきましたか。
飯塚―準決勝は雨中のレースで向かい風。それでも後半余力があって20秒93ですから、決勝は記録より勝つことだけ。ここまで来たんですから、優勝チャンスに勝てなけきゃ意味がありません。

―予選で100m優勝者のディクスター・リー(ジャマイカ)がフライングで失格になったのは知っていましたか。
飯塚―もちろん知っていました。かれのような選手と一度は走って戦いたかったです。

―今季は大学1年生ながら関東学生対校選手権、日本学生個人選手権で優勝した。ジュニア世界選手権優勝、タイトル獲得が続いていますが、大学に入ってからの環境変化の影響は。
飯塚―そうですね。ここまでは負け知らずに来ています。環境の変化に影響されず、イイ刺激になって練習も十分に消化してきました。

―いつごろからジュニア世界選手権優勝を目標に持つことができましたか
飯塚―昨年からです。記録より勝負を狙ってきました。現実的は、海外でこのように世界を相手に走った経験はありませんが、静岡で世界ランキングトップ20秒58の記録を出してから、この記録を出せば少なくともメダル獲得できるチャンスがあると予想してきました。

―これが世界に出る一歩だと思いますが、今後の大きな目標は次回の世界選手権、ロンドンになりますね。
飯塚―努力して行きたいと思います。

 
(10年月刊陸上競技9月号掲載)
(望月次朗)

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