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第31回室内欧州選手権大会 一日目

3月最初の週末は、恒例のパリ「モードショー」で華やかに始まる。同じ日に、欧州51カ国が参加した第31回欧州室内選手権大会がベルシーオムニスポーツ館で開催され、3日間の熱戦を繰り広げた。昨年のバルセロナ欧州選手権大会では多くの種目で世代交代がされ、若い世代のエネルギー、台頭が著しく飛躍した印象を受けた。テグ世界選手権からロンドン五輪に向けて厳しい試練が待っている。

地元の若手「三銃士」が元気だ。バルセロナで開催された欧州選手権スプリント2冠のクリストフ・ルメートレ(22歳)。昨年の室内世界選手権三段跳び世界新記録で優勝、さらに2月の国内選手権で17.91mを跳び自己の持つ記録を1センチ更新した絶好調のテディー・タムゴ(23歳)が本職の三段跳び、走り幅跳びの2冠を目指して挑戦。今季、世界ランク1位の棒高跳びのレノード・ラヴィニエリ(24歳)。このトリオが先鋒で地元勢のメダル獲得ラッシュ。大会ハイライトを順に追って書く。

いきなりフランスの金メダル

大会初日、ペンタスロンでいきなりアントワネッタ・ナナ・ジムー・イダ(24歳)が大会初の金メダルを獲得。地元の利を生かした観衆の強力なバックアップで、最終種目800mで17ポイント差を付けて逆転優勝。優勝を確認後、感激のあまり泣き出すほどドラマチックな逆転劇を演じた。これでフランスは勢いをつけた。前回の銅メダルから大きな飛躍。最初の60mhで自己新記録の8秒11を叩き出し調子に乗った。続く走り高跳びで180cmをクリアー。2種目を終わって優勝争いは、ナナ・ジムー・イダ、アウストラ・スキュイタ(リトアニア)、レモナ・フランセン(オランダ)の3人に絞られた。3種目の砲丸投げで優勝候補筆頭のアウストラ・スキュイタ(リトアニア)が2位以下に3m近くの大差をつける断トツの強さでリード。1位のスキュイタと2位のイダは112点差。この時点でイダの優勝は遠のいたかに見られたが、得意の走り幅跳びで83点差にまで短縮。逆転優勝のわずかな可能性が最後の800mで残された。最終種目で観衆の大声援を背に、死力を尽くして走った!7秒半以上の大差をつけてゴールに倒れ込む。場内放送で優勝を確認すると、「優勝したなんて信じられない!」と言って泣き出した。

女子60mhタイ記録で優勝を分ける激戦

カロリナ・ニトラ(ドイツ)とティファニー・オフィリ(イギリス)は7秒80のタイ記録でゴール。オフィリは数か月前にアメリカ国籍から、祖父母の国籍である英国籍に変更。アメリカではこの種目で五輪出場は難しいと判断。ロンドン五輪を英国籍で目指すという。予選で早くも英国新記録の7秒89を出し、決勝でさらに短縮。優勝こそ逃したものの、新天地の屋外シーズンでどのような活躍ができるか楽しみだ。

男子60mhは、貫禄のスヴォボダが今季欧州ベスト記録で圧勝。予選から圧倒的な強さを見せた。欧州でアメリカ勢に対抗できる数少ないハードラー。英国勢が欠場のため、スヴォボダの強さばかりが目立ったレースだ。

男子砲丸投げ、ラルフ・バルテルズ(ドイツ)が一回りも年齢差が違うジュニア世界記録保持者のダヴィド・ストール(ドイツ)を相手に4投目21.16mを投げて圧勝。ドイツ1,2位。3位に20.55mを投げたマクシム・シドロフ(ロシア)が続いた。

異端児のテディー・タムゴは専門の三段跳びと走り幅跳びの2冠を目指して出場。両種目で簡単にトップ通過。格の違いを見せつけたが、今大会のハイライトのひとつだったタムゴとフィリップ・イドウ(イギリス)の一騎打ちはイドウが欠場で残念な結果となった。三段跳び決勝で18mの大台が出るだろうか。

 
(2011年月刊陸上競技4月号掲載)
(望月次朗)

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