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第31回室内欧州選手権大会 二日目

ラヴィネリ、6.03mの大会新記録、世界歴代3位の好記録で圧勝。

大会2日目、女子棒高跳び。競技は午前9時開始。午前中は予選のみ。昨年のジュニア選手権、ユース五輪を優勝し、今季驚異的なジュニア世界新記録4.63mを樹立したアンジェリカ・ベンソン(スウェーデン、17歳)が、4.45mをクリアー出来ず予選落ち。また、女子走り高跳びではユース五輪優勝者のマリア・クチナ(ロシア、18差)が、1.94mをクリアー出来ず予選落ち。ブランカ・ブラシッチ(クロアチア)、アリアナ・フリードリッヒ(ドイツ)らの世界的な選手らは賞金がでない大会を敬遠したのか、どこか気の抜けたようなメンバーではあったが、国際経験の浅い選手らは目に見えないプレッシャーの洗礼を受けた。一方、2年前の世界ユース選手権で女子100、200mを優勝。昨年の世界ジュニア選手権100m優勝、200mで2位だった英国の天才スプリンターと呼ばれるジョディ・ウィリアムズは、準決勝を7秒21(自己新記録)の3位で通過、決勝進出を果たした。

午後の競技は女子砲丸投げ決勝からスタート。続き、今季絶好調のイヴァン・ウホフ(ロシア)の活躍が期待される男子走り高跳び、女子三段跳びの決勝が開始された。男子走り高跳びはウホフ対同僚のアレキサンダ・シュストフのロシア2強の争いが予想されたが、ヤロスラフ・ババ(チェコ)が2.34mまですべて一発クリアーという予想外の健闘。ウホフがタイツを履いたままで挑んだ2.29mを2回目でクリアーしたため、2.36mまではババがリードしていた。しかし、バーが2.36mに上げられるとウホフの本領が発揮された。2.36mを一発のジャンプでいとも簡単にクリアー。ババはこの高さで一度失敗するとパス。するとウホフが2.38mも一発でクリアー。ババはこの高さの1回目も失敗すると2回目をパスし、バーを2.40mに上げてイチかバチかの賭けに出たが敢え無く失敗。ウホフも2.40mを失敗したがそのまま優勝が確定した。ウホフは、「世界記録へ挑戦できる調子だったが、2.20mから世界記録への挑戦まで8回のジャンプは多すぎた。2.38mのジャンプはほぼ完璧だった。ババの活躍は予想外で驚いた。楽に勝たせてくれなかった。パリの観衆は陸上競技を知っている。観衆のバックアップもあり好記録が出て勝てて良かった。楽しい競技会をありがとう。これからもチャンスがあれば世界記録へ積極的にチャレンジして行く。」と語った。

女子砲丸投げは、アナ・アヴデイェワ(ロシア)が、2回目に18・70mの投擢を決めて今大会初となるロシア勢の金メダルを獲得した。2位はクリスティナ・シュワルニ(ドイツ)の18.48m、3位もドイツ人のソフィー・クリ―ベルグだった。女子三段跳び参加選手は、どうしたわけか予想外の低調だった。シモナ・ラマンティア(イタリア)が2回目に14.60mまで自己新記録を伸ばし、5回目も同記録と安定したジャンプ力を見せて優勝した。

男子棒高跳びの選手が入場すると、熱狂的な大歓声が迎えた。多くの観衆が注目するのは、レノード・ラヴィニエリ(フランス)の大ジャンプだ。5.61mから始めそれを2回目にクリアー。競技開始直後は少しのもたつきを見せたが、5.71mと5.76mをともにパス。5.81mを一回目でクリアー、5.91mを3回目でクリアー。その後、6.03mを見事に一回目でクリアーすると、バーを一挙に6.16mまで上げ、観客席の現世界記録保持者のセルゲイ・ブブカ、現フランス記録保持者のジャン・ガリフォンの目前で世界記録への挑戦を3度試みた。結局、挑戦は失敗に終わったが、観客の目はタブゴらが出場している男子走り幅跳び決勝もそっちのけで、多くの注目を集めていた。ラヴィニエリは、「地元開催の欧州選手権は記録を狙うには絶好のチャンスだった。冬季に練習を十分にして、地元開催の大会に備えてきた。自己記録を伸ばし世界歴代3位になって驚いている。これから積極的に世界記録挑戦を続けて行きたい」と抱負を語った。2位は同僚のジェローム・クラヴィエールの5・76m。3位はマルテ・モール(ドイツ)。2年前のジュニア世界選手権2位のパベル・ウォイチェホフスキ(ポーランド)は、昨年の5.20mから5.86mまで記録を伸ばしてきたが惜しくも4位にとどまった。

好調の地元フランス勢、男子400mではレスリ・ジョーンが優勝。長い間勝ちに見放されていたが45秒54のフランス新記録、今季世界最高記録で栄冠を手にした。男子走り幅跳びではカフェティエン・ゴミが8.03mを記録して2位。本職の三段跳びとの2冠を狙ったテディ・タムゴーは助走が悪く7.98mの4位に終わった。前回大会、8.71mの大ジャンプで圧勝したセバスチャン・バイエル(ドイツ)が8.16m跳んで優勝した。

 
(2011年月刊陸上競技4月号掲載)
(望月次朗)

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