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世界陸上男子砲丸投げ
衝撃の一投、急成長のシュトール

決勝進出した12名には、この世代の史上に名を残す五輪、世界選手権大会の数々の栄光に輝くエリートが勢ぞろい。この種目は経験が最も大きく左右する。最強軍団の4名のアメリカ勢の独占か、またはディラン・アームスロング(カナダ)か、今季のダイヤモンドリーグでも、アメリカ勢か、アームストロングが上位を常に独占してきた。だれがドイツの21歳の若者の世界選手権優勝を予測しただろうか。かれ自身も夢にも見なかった衝撃的なビッグショットだった。今大会で最大の番狂わせが起きた。ベスト8に残ったダヴィッド・シュトール(ドイツ)は、2投目に自己新記録の21.60mでアームスロングの4投目の21.64mに続く2位。力んで4,5回と連続してファウルしたが、最後の6投目は、グ〜ンと大きな放物線を描いて伸びて21.78m。

シュトールは、「今だに優勝したなんて信じられない!予選の2投目で21.50mを投げて予選トップ通過。2位が21.05mだったので決勝はマークされてきつくなると思った。世界選手権で自己新記録を目標にしたが、あそこまで記録が伸びるとは・・・!昨年までの記録が20.77mだったから101cm伸びた。今季21.03,21.05mを投げただけ。ジュニア時代に07年世界ユース、08年世界ジュニア選手権優勝したが、まさか世界選手権に優勝するなんて夢にも見たことがない。今季の目標は、世界選手権でトップ6、ロンドン五輪後にメダル獲得目標を置くように考えていた。15歳ごろまでは10種目の選手だったが、コーチが亡くなり身体が大きかったので砲丸投げに転向。これからの課題は体重を135kgまで増やし、パワーを増したい。」とまだ童顔の残る笑顔が良かった。

ベスト8に4名を送りだした砲丸投げ王国のアメリカは、大きなショックを受けて競技場を去った。2位のアームストロングは、「今後、故障さえなければシュトールは10年間世界のトップ選手として活躍するだろう。ロンドン五輪最大の強敵だ」と決意を新たにした。

 
(2011年月刊陸上競技10月号掲載)
(望月次朗)

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