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世界新ラッシュの兆候か

陸上競技史の中で最も有名な1マイル「4分の壁」は、オックスフォード大学の医学生だったロジャー・バニスターが1954年5月6日、3分59秒の記録で人類最初に破った。その46日後、ジョン・ランディ(オーストラリア)が3分58秒で更新したのを始め、それから1年後に世界中で23人のランナーが4分の壁をいとも簡単に破るようになった。

前置きが長くなったが、ハイレが2008年ベルリンで史上初めて、マラソンで2時間4分の壁を1秒破ったとき、すでに若い世代は心理的に3分,2分の「壁」をそれほど重く思っていなかった。問題は誰がどんな環境、きっかけ、刺激によって、雪崩現象を起こして世界新記録ラッシュをおこし、進歩した新しい時代を作るかだった。

今春ボストンでジェフェリー・ムタイ、モーゼズ・モソップ(ケニア)が出した2時間3分2秒と6秒のタイムは非公式記録ではあるが、人類が最速のタイムでマラソンを完走したことに間違いない。現状で2分台突入の潜在能力を持っているランナーは、世界で少なくとも10名はくだるまい。今週のベルリンで2時間3分38秒の世界新記録を樹立したパトリック・マカウは「これで2分台突入はそれほど難しいことではなくなった。」と断言した。

ハイレは4年前、20年後に「サブ2時間」の時代が必ず来ると断言しているが、この勢いをみると、サブ2時間の時代が現実にやってくるのもそれほど遠い将来ではないだろう。

 
(2011年月刊陸上競技11月号掲載)
(望月次朗)

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