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変わりやすい気象と終盤の特別コース

世界選手権マラソン最大の特徴は、発着点がオリンピック競技場ではなく、市の象徴であるブランデンブルグ門前を中心に1周10kmの周回コースになる。ブランデンブルグ門を中心に、コースは時計回りで旧東西ベルリンを仲良く2分にしている。スタート、ゴールともに門の背後になる。スタート直後、左手のホロコースト記念公園、右側に森が続き、ポツダム広場を通過する。この辺りは旧ベルリンの「壁」があったところ。運河沿いに進み、右折すると「勝利の塔」が見える。「6月17日通り」を超えて森の中に入る。大統領官邸を通り、数100mだがシュプレー川に沿って進み、連邦議会議事堂前の公園をジグザグに走る。運河を渡ると最初の橋がコース最大の上下が約2mあるとか。街の雰囲気ががらりと変わって、旧東ベルリンに入る。ところによっては路面の凸凹があるので足元に要注意だ。走者は気がつかないだろうが、博物館が密集しているため「博物館島」と呼ばれるところを出たり入ったりする。2度目の橋は最初の橋よりやや緩やかだ。

3、4度目の橋は平坦。2km近い直線コースがブランデンブルグ門まで続く。スタートからゴールまで、高低差の少ないフラットコースだ。視界を遮るものが少ない。35km辺りまでトップは集団でくる可能性もある。しかし、最後の4週目の終盤の特別ルート2.195kmが曲者だ。勝負が山場に掛かる36kmを過ぎたころ、巨大なテレビ塔周辺の公園内のシャープなコーナーを6回も曲がらなければならない。キックするチャンス、疲れた身体に応えそうだ。視界も悪い。または、最近の国際レースにならい、ゴール直前のスプリント争いになるケースだ。いずれも気象条件ひとつでレース展開は大きく変わるだろう。真夏の炎天下になると、気温は30度前後にもなることは珍しくない。曇り空なら20度以下、雨でも降れば肌寒い15度以下にも急変する。全天候に対応できる能力が、必勝条件になるだろう。

 
(09年月刊陸上競技9月号掲載)
(望月次朗)

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