shot
 
NEWS
 

世界陸上男子マラソン
アベル・キルイ独走、2連覇を飾る

「レースは厳しかったが、神さまから勝利の力を授かった。」敬虔なクリスチャンのアベル・キルイ(ケニア、29歳)は、人差し指を天に向けて神に感謝。前回優勝時はゴール後に踊りだしたが、淡々としたゴール。2時間7分38秒で2連覇を達成。2位のヴィンセント・キプルト(ケニア、24歳)に3分弱の大差をつけて圧勝した。

マラソンコースはテグ市内の目抜き通りがスタートとゴール同地点。スタート時、曇り、気温24度、湿度65%と、それまでよりは比較的に強烈な直射がなかった。

最初の5kmをトップの川口が15分58秒で通過。10kmのスプリットは31分21秒。それまでケニア勢は大きな集団の真ん中の位置から一向に前に出る気配がなかったが、10kmを通過してから徐々にキルイ、キプルトがペースアップして前に出てきた。キプルトが15kmを46分26秒で通過。キルイは、「コースは平たんで走りやすかったが、出場した選手は強豪が揃っていたので気象状況を考えて慎重策を取った。最初の20kmかハーフまでは慎重に走り、レースの流れを見るようにした。ベルリンで初優勝した時から、連覇は目標だった。選手権は勝つことが総てでタイムではないからだ。20km手前からキプルトらと一緒に積極的にグングンペースアップ。あの地点でペースを上げて自分のレースをコントロールできたことが勝利に結び付いた。」とレース後のコメントだ。

ハーフを65分7秒と、通常のレースと比較すると4分ほどスローだが、25−30kmは14分台のハイペース。それまでの15,6人の先頭集団から次第に少なくなる。キルイ、キプルト、ツモ、キプタヌイ、モロッコ選手の4人に絞られた。

「20kmを過ぎてからペースアップしたことが優勝に結び付いた。ハーフを過ぎてからほぼ独走態勢。世界選手権2連勝は特別なもの。これで自信を取り戻した。連勝は次回五輪に向けての良い兆候だ。ゴールした瞬間サミュエル・ワンジルを思い出した。」

上位1,2位を独占したケニア選手のマネージャーは、オランダ人のヨス・ヘルマンスでグローバル・スポーツ・コミュニケーション社の契約選手。

上位1,2位を独占したケニア選手のマネージャーは、オランダ人のヨス・ヘルマンスでグローバル・スポーツ・コミュニケーション社の契約選手。

ヨスは、「キルイは素晴らしい素質を持った選手だが、09年ロッテルダムマラソンを2時間5分04秒で走った後、良い時と悪い時が極端になり、昨年のロンドンでは途中棄権するなどかなり落ち込んだ。良くあるアフリカ選手の典型的な例で、遊びまくって練習をしない。そこで話し合って練習環境を変えて世界選手権を復活チャンスの場として再生プランを与えた結果が2連覇だ。五輪へ向けての良いモチベーションになった」とニンマリ。

 
(2011年月刊陸上競技10月号掲載)
(望月次朗)

Copyright (C) 2005 Agence SHOT All Rights Reserved. CONTACT